思い・雑感・・あるまま

舘野鴻絵本原画展・・感動!!

投稿日:

画像(180x119)・拡大画像(480x319)

主題の「ぎふちょう」

 昨日、生物写真家の久保秀一さんからの誘いを受け、女房共々、相模原市立博物館で開催中の「舘野鴻(たての・ひろし)さん」の“ぎふちょう”を主題とした絵本原画展を観覧してきた。

 舘野鴻さんは、私が尊敬した“熊田千佳慕画伯”のたった一人の本物のお弟子さんで、少年時代から、チカボさんが「埴生の宿」と呼んだ農家の納屋を改造した小さな家に通い「細密画」を学ばれた良き青年である。・・とはいっても、今はすでに脂ののり始めた45歳、・・・苦学しながらも、久保さんのご指導等も手伝って本気になって努力を重ね、何冊かの絵本や、図鑑や児童書の静物画、解剖図プレートなどを手がけている。

 これらの原画が全て掲げられた会場で、彼がにこやかに迎えてくれた。そして、一枚一枚の原画を根気よく熱意をもって説明してくれたのである。
 
 ともかく、この絵を描くことの大変さは良く分かる。師匠のチカボさんは、筆先だけを使ってA3くらいの大きさの画用紙に昆虫などの絵を描き、1枚を仕上げるのに何か月も掛かっていた。正に、彼はそうした誰も真似できないような描き方を継承しているのである。

 一つ感じたのは、彼が描く絵のすべてに「命」を感じさせることである。・・小さな虫も、一生懸命生きている。・・生ききるために、生きる自然の連鎖を大事にする。・・そんな秘めが感じられるのである。
 
 そしてもう一つ、チカボさんは対象を絞って観察し、写実し、あまり影を付けなかった。しかし彼の画は、「対象」が大きな自然の風景の中に存在したり、他の対象と共存したりもする。絵筆の先を使った「点」からの構成でなく、細線を多く使ったり、べた塗りの部分もあったりと、チカボ流とは一歩違った画風を感じるのだった。

 この原画展は10月27日まで行われている。多くの子供たちにも、子供を育てる親御さん、教育に携わる先生方にも是非観ていただきたいと思う。

 豊かな生活の中にあって、欠けた何かが見えてくるような気がする。そんな素晴らしい原画展であった。


 
 最後に、以前このブログで紹介した、熊田千佳慕さんの追悼記事(09・8・15 享年98歳)を読み直し、ちょっと触れてみた。

 
 これはブログに寄せられた生物写真家の久保秀一さんからコメントです。

「ブログを拝見しました。何にでも終わりは有るものでしょうが、せめてあと数年、神が力を貸してくれたら・・と思います。舘野くんの「しでむし」を熊田さんに見てもらえたのが本当に良かったと思います。
 NHKテレビに、熊田さんと舘野くんが2人で出た時、刷り上がったばかりの「しでむし」の色校を見ながら、熊田さんは涙を流しながら、「君もいよいよ貧乏生活の始まりだね」と言っていたのを思い出します。」・・久保


そして、私もちょっと触れました。

 熊田千佳慕さんの弟子と名乗る方は沢山居られるようですが、私は舘野鴻君が唯一のお弟子さんではないかと思っています。本年3月、初めて偕成社から“子育てをする虫・しでむしの一生”を、緻密で美しい絵で綴る絵本として出版されました。また、コメント頂いた写真家の久保さんは、若い館野君をバックアップされている方でもあります。(鱚介)

画像(180x120)・拡大画像(480x320)

舘野さんと・・


画像(180x119)・拡大画像(479x319)

記念に!





-思い・雑感・・あるまま

執筆者:

関連記事

フグに勝つファイヤーラインでハリ結び

ふと思ったのだが、今シーズン何処に行ってもやけにフグ(クサフグ)が多い・・。小さなヤツも居るが、どちらかと言えば大きい! それも2連3連で来る。フグ対策のない仕掛けではたちまちにしてハリは無くなるし、 …

Loading

あと少しサクラ前線キス開花

キスはもう少し先、河津サクラに始まりソメイヨシノが後を追う。その頃になればキスもその前線に乗り、浮かれて岸に寄ってくる筈だ! さて、長らく休筆したが、我が身は至って元気! 実はこの間、波止でカマスを釣 …

Loading

no image

今晩から福井の方に!

 各地から、釣れた釣れたの情報が入っている。特に、近場では、原海岸が好釣とのこと・・・。 小生は、今晩から釣友3人で、福井の敦賀(気比の松原海岸)に出かけることになった。遠投が有利とのこと、思い切り投げてみようと思っているのだが…、果たして!! 帰宅後の報告をお楽しみに!!・・・なんちゃって良いのでしょうかね?

Loading

早、一月が過ぎて

口野取材でのツーショット 気が付けば、早、ひと月が過ぎていた。この日記の方も、何ともご無沙汰してしまった。一言で言訳するならば、ただ“忙しかった”のである。 退職して暫しの時が経ち今年は十分な暇が出来ると考えていたのだが、これは甘かった。歳とともに、残された時間の中で、やり残しはしたくない・・と云う気持ちが先行しているのかもしれない。ただ、その忙しさは、決して他人様の為ではない。自らの、ある意味で、とても贅沢な忙しさであることは事実である。 朝日新聞の宣伝誌「暮らしの風」に、赤瀬川原平氏が…

Loading

皇帝と云えど威張らぬダリアかな

放ったらかしにされていた日陰の皇帝ダリアが、天高く誇らしげに咲いていた。・・・空を見上げることが少なくなったこの頃、気付くのが遅かったのだ。傍に、タイワン椿と菊が咲いていた。自然の営みは何とも素晴らし …

Loading

2024年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

アーカイブ