1月25日、沖縄の首都那覇市のホテルで目が覚める。午前7時を過ぎているのに未だ薄暗い。夜明けが遅いのと曇り空がそうしているようだ。
昨晩の宴会は楽しかった。釣り人同志の気心の通じは早い。大いに語り、大いに飲んだ。確か、ホテルにチェックインしたのは、今朝になっていたような気がする。なのに、不思議にもサケの残りも無くスッキリしている。泡盛とはそうしたサケなのだろうか?
7時30分、佐久川さんに代わって「ほぼ完全攻略本出版局」の名嘉山博さんが迎えに来てくれた。今日、目指すところは南の「与那原町」と、釣れなくば「糸満市」ということになった。途中、何とか特エサ「シマミミズ」を得ようと数件ほどの釣具店に寄ってみた。しかし何処も扱ってないという。仕入れて3日位で腐ってしまうのだそうだ。
与那原の外に向かった堤防は、付け根付近にはかなり藻が付いているが、先端に向かっては砂浜が広がっている。残り少なくなった東京スナメを付けて投げてみる。だが居ない。・・だんだんに先端方向に移動するが、やはり居ない。桟橋で釣る数人の仕掛けには、キラキラするものが釣れている。小さな「ヒイラギ」のカゴ釣りだった。
1時間ほどで諦めることにし糸満に向かう。ほぼ1時間後、糸満市役所がある埋立地前の整備された公園前に着く。遠浅で美しい釣り場だが、どうやらここでも嫌われてしまったらしい。川の対岸に、置きサオでのんびりと数人が釣っているが動きが無い。多分、釣れないのだろうとみた。
早々に引き上げ南浜漁港に移動する。国道から降りたところに、小さな「みなと商店」という釣具店を村越さんが見つけた。「島ミミズ」有り・・との看板がある。入り口付近の発泡スチロール製のハコに入っていた。1パック300円と500円がある。観て、やっと「シマミミズ」なるものが理解できた。それは「岩イソメ」の細いヤツであろう。寄った釣具店では、ジャリメのことだと云うし、太いマムシ(岩イソメ)と云う所もあって、正直、正確さに欠けていた。恐らく地物の岩イソメであろう。太いものは無かったから、細いのだけを選んで捕って来るのかも知れない。ただし、私自身は淡水のドブに居る「縞ミミズ」の海水版だろうと思っていたから、相当に思い違いをしていたことになる。
店主は、「これから上げ潮になるから必ず釣れますよ。」と云う。それぞれ1パックを買い求め、漁港を囲んだ狭く長い堤防の先端に行く。かなり根掛りはあるがキスは居そうだ。しかしである。私には2度大きなアタリが有ったものの、空しく外れてしまった。暫く後、村越さんに大きなアタリ。だが、上がったのは20センチくらいの「アジの類?」であった。もしや、私の先ほどのアタリもそうであったかと思うと気が萎える。ならば、もう一度さっきの公園の、反対側の河口に行こうということになった。
昼である。釣具店の近くのかなりマニアックな「沖縄そば屋」に入ってみた。そばとアサリ飯の定食を注文する。・・・これが正直、旨い。3日間、昼に沖縄そばを食ったが、最高の味に行き着いた感じである。他にもこうした店は有ろうが、こだわる店主の自信が料理にみなぎっている。時間がずれているにも拘らず、次々に客が訪れることもこれを証明しているようだ。
満足した後、海岸公園に突き出した展望台の石積み堤防に行ってみた。左側には川があり、海に払い出している。先ほど見えた地元釣り人の先に釣り場を取った。村越さんは先端に行く。仕入れた「島ミミズ」をハリいっぱいに付け、対岸に向けて投げる。暫く置きサオで待つ。カンッ、カンッ!ゴンッ・・と凄いアタリが入る。高い堤防から石積み提の坂を下り、一気に引き上げる。美しい20センチ級のホシギスだった。
どうやら期待が持てそうだ。ならばと、5本バリの仕掛けを付けてみた。その2投後だった。アタリは小さいが確実にホシギスのアタリが出る。何時ものシロギス釣りように待ってみた。追い食いは果たしてあるのだろうか?ラインを張りながら少しだけサビいてみる。再び新たなアタリを感じる。さっきと同じように、堤防の坂を下り、水際に近づき巻き上げに入る。かなり重い・・何と、水面に浮き出たのは3尾・・トリプルではないか! 難しい、難しいと思い続けた「ウジュル」が、思いどうりに釣れてきた。もうこれ以上言うことは無い。
その後、散歩する人から、反対側で釣れているとの情報を得、直ぐにそこに行く。帰り支度をしていたその釣り人から釣り方を聞いてみた。直ぐ傍で、岸と平行に投げればよいとの事。早速、第一投目から来るではないか。以後、村越さんと並びながら、ゴツッゴツッ、ガンッガンッを重ね、時間も5時を過ぎるまで頑張ってしまったのである。
「島ミミズ」は矢張り特エサなようだ。「東京スナメ」も良かった。次回来ることが出来たら、もっと「柔らかなサオ」、もっと「軽いオモリ」、・・それと「岩イソメ」も「東京スナメ」も沢山持って来よう。そんな思いを馳せながら、沖縄ホシギス3日間の遠征釣行を終わることが出来たのである。さあ、20時発フライトに間に合うように空港に急ごう!!
追 記
写真の「海岸に咲く花」は、オオバナクリプトステギア(ガガイモ科)インド原産の、巻きつる型のつる性植物と云うことが分かった。派手なしっかりした花で、別名:オオバナアサガオ、通称:インドゴムカズラと呼ばれるそうだ。
沖縄・・ホシギス(三)
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執筆者:東京湾展望台