ホシギスを求めて去る29日から31日まで、村越正海さんとの二人旅で沖縄に行ってきた。釣行記は2月末発売の「磯・投げ情報」4月号に掲載される予定だから、ここでは紙面に書けなかった余談を少しだけ(結果、長〜くなってしまったが・・)書いてみたい。
私の沖縄へのホシギス釣りは3回目だが、奄美大島を数えると6回目となる。ホシギス釣りの最大の魅力は、何と云っても近い距離での強い引きと、太くて大きいヤツに出会えることだ。ただ、ホシギスは周年釣れるとは云うが盛期は秋から初冬まで。正直言って、今では少し遅いようだ。
しかし、過去の実績から、場所を選び見合った釣り方さえ出来ればマダマダ釣れる。
仮に、釣れないならばそれはそれ、楽しみはもう一つある。釣り場の美しい海と温暖な気候に浸り、更には、泡盛や郷土料理を好きなだけ堪能できることにある。
料理と云えば書きたいことがある。先ず、釣ったホシギスを持ち込むことが出来る料理店が幾つもあるのでる。すべての店と言うわけではないが、今回も案内してくれた沖縄の釣友、合田陽子女史が事前に掛け合ってくれ、塩焼き、テンプラ、サシミと、実に上手に造ってくれた。
・・沖縄の人達はホシギスを食べる機会は殆んど無いようだから、造る料理人も珍しいのかもしれない。
そしてもう一つは“沖縄そば“である。どんな辺ぴな釣り場に行っても小さなそば屋の看板がある。それがみすぼらしいと思える店であっても、その店の主人が家庭で作ってきた独特の美味しさを味会わせてくれるのだ。ソーキそばとかには、脂の塊のような肉が入っているかに見えるが、それは脂でなくコラーゲンの塊であって、決してメタボの原因にはならないという。
島に着いての先ずの行動はホシギスの特エサ「島ミミズ」を仕入れることから始まる。過去の経験から、こちらから持ち込んだエサにはホシギスは余り食指を動かさない。
前にもこのブログに書いたが、因みに、シマミミズと聞いたらイメージ的にはドブ川の淵に居る「縞ミミズ」を思い起こす。従って、最初は海水性の縞ミミズが居るのだと思っていたのだ。しかし「字」と「現物」を見て納得。即ち「島のミミズ」なのである。・・・ミミズとは、ゴカイとかイソメなどの長い虫エサを総称するようだから、直訳すれば「島で捕れたゴカイ類」と云うことになる。この「島ミミズ」を一言で表現すると「赤くて柔らかい岩イソメ」と思って良いだろう。
一方、この島ミミズは何所の釣具屋にも置いてあると言うものでもない。今回は行く前に、昨年買った糸満市の釣具店に「5千円分掘っておいて!」と、電話予約をしておいたのである。店主の話では「予約は、干潮時でないと掘れないのでなるべく早い連絡が欲しい」そうだ。腐りやすいエサだと思っていたが、流石に午前中に掘ったばかりだという「島ミミズ」は活きが良い。実は、洗って手入れしたものを持ち帰ったが、未だまだ充分に使うことが出来たのである。
釣りに戻そう。実は、糸満漁港の西にある「美々ビーチ糸満公園」の堤防でのことだ。新しいレジャー港で、底には白砂が広がり如何にもホシギスが群れて居そう。そして、早々に1尾の美しいホシギスを釣ったときだった。管理事務所の職員が現れ“ここは釣り禁止です”との御触れ!!・・止む無く止めざるを得なかったが・・・。
沖縄の海には沢山の橋が掛かっている。同時に、その橋の上は釣場として認知されているようで、何本もの竿を出している人すら居る。警察も、よほどのことが無ければ注意などしないとも聞く。この点、沖縄では確かに釣り人に対して甘い点はありそうだ。
たが、それにしても観光立県沖縄の海で、しかも公共の海を埋め立てた地先でありながら「釣りをさせない。」・・とは、なんとも情けない。
聞けば「条例」で決めている。理由は「釣り人のマナーが悪いからだ・・」と言う。確かにそれは否定しない。しかし、今我々投げ釣りの世界では、誰しもマナーを守り行動にも注意している。・・・ならば、行政側でもマナー向上のための努力や行動をしているかと問えば、何もそれらしきことなどはやっていない。
変な見方をすれば、今や沖縄も、庶民不在の都会化がされつつあるのかな?・・と、つい思ってしまった。
今回の釣行地の本命は、島北部に位置する名護市の屋我地島(やがちしま)周辺の、羽地内海(はねちないかい)という静かな海に浮かぶ小島である。以前から村越正海さんが目を付けていた所だ。島にはボート(漁船)で渡船する。ボートは、同行の佐久川政一郎さんが手配してくれた。友人の親川さんの所有する小さな漁船である。島に渡り眺めると、僅かだが西側に砂地が広がり深みもある。
・・・以下は、磯・投げ情報で!!
ここで、面白い体験をしてしまった。浅瀬にボートを付けたのだが、このとき潮はどんどん引いていた。そこにそのまま浮かべておけば、当然船も干上がってしまう。釣りをしながらも、時折りは押し出し浮かべるようにしておかなければならない。
しかし、である。・・ほんのチョッと怠りをしてしまったのだ。・・気が付き、急ぎ4人で押し出そうとしたのだが、さてさて、なんとしても動かない。砂に食い込んでしまった重いボートは、遂に座礁してしまったのである。
これでは潮が満ちるまで帰ることすら出来ない。だからといって、急いで帰らなければならない人も無い。これならば、小生もじっくりと釣りに専念できるなぁ!と内心ほくそ笑んでしまった。
さて、その帰り。・・午後4時を過ぎた頃やっと潮が満ち始める。天候も崩れ風も出始めた。夕暮れも近づき一刻も早く戻らねばならない事態となってしまった。
船底まで水位が上がった時、私を除き裸足の3人が海に入って押し出す。・・靴を脱ぎ、靴下を脱がねばならない年寄りに気を使ってくれたのだ!!
しかし、浮いたものの、少しくらでは人が乗れば底が付いてしまう。止む無く、村越、佐久川両氏が岸辺に沿って船を押し深場に移動した。ところが、少しの深み位では岸辺は浅く、岸から直接船に乗る事が出来ない。
そんな時、鱚介さん!抱っこですか?おんぶがいいですか?・・との声。・・恥ずかしながら、親川さんの背にしがみ付き、やっと乗り移ったのである。皆は、抱っこの方が良かった!!と冷やかす。・・さぞ重かったろう、落ちずに船上人となれたことに今も感謝している。・・勿論、そんな恥ずかしい写真などは無い・・。
最後に、ホシギス釣りに付いてチョッとだけ触れておこう。
ホシギスは、本土のキスと違って潮の干満や流れが極端に影響する。四六時中釣れることはまず無く、上げ下げの前後1〜2時間が勝負となる。一般的には川の流れ込みがあるような砂地が良く、また、そうした所でも広く群がらずに、ミオ(溝状の水脈)にそって動くようだ。今回行った屋我地島周辺のような浅場でも、スジ状に白く見えるミオの深みを探して釣る。
釣り方は、仕掛けをそこに投げ込み、じっくりと待つ方法と軽いオモリで、潮の流れに乗せて釣る方法がある。どちらかと言えば、沖縄の砂浜は砂ではなくリーフの欠片で覆われているから、どうしても根掛りが多くなる。また、ホシギスはシロギスに比べて野性味に溢れ、警戒心が強いから「不自然さを与えずに静かに釣る。」・・これが基本であるように感じている。したがって「置きサオ」「待ち釣り」のほうが良いようだ。
詳しくは、磯・投げ情報3月号で!!・・紙面の関係でカットされているかも知れませんが・・・
今回の釣行も親友の釣りプロ・村越正海さんと同行させてもらい、現地では村越さんの友人達、サザンフィッシングの佐久川政一郎さん、合田陽子さんにもすっかりお世話になってしまった。旅というものは楽しく有るべきだし、釣りも同じである。新しい人との出会いと、お互い気心の通じた仲間の一緒の行動が、何にも増して至福を作ってくれる。兎にも角にも今回の沖縄釣行も楽しい旅だった!!
・・・・感謝しつつ、長〜い文を終える。
ホシギス 沖縄釣行余談
投稿日:
執筆者:高澤鱚介