これまで、このブログで竿のことを書いた事は少ない。 ・・何故なら、竿の良し悪しを評価したり、評論できるだけの知見を持たないからだ。 投げ釣り用の竿を造っているメーカーは数社だが、その種類は多いし、毎年繰り返し新しいモノが出されている。竿の良し悪しは実釣する中で感じ取ることが出来るのだが、こうした大量の竿、高額な竿を持つこと、試すことも、ましてや日々、実釣で試すことなど出来る訳がない。 そうした難しい条件の中にあっても、この竿は良い、あの竿はダメだ・・等々、釣り人の間では当たり前に、しかも淡々と、自信に満ちた評論がなされていることが不思議でならない。・・それに惑わされる方も結構多いのだ・・。 竿の良し悪しは、同じ竿であっても、使う個人の体力や経験値によって全く異なるものである。従って、自分に良いからと言って、必ずしも他人にまで勧められるものでもないだろう。 小生はこうした意識から、自ら感じたままを語ることはあっても、知ったかぶりで人様に高価な竿を買わせてしまうような「切っ掛け話し」は出来ないのである。 とは言いつつ、多くの方から竿のことを聞かれる。 ・・・確かに、これまで多くの竿を振ってきた。つい先日、これまで使ってきた古い竿を50本ほど処分した。 リールシートやガイドが腐ってしまい使える代物ではなかったが、このまま置いても邪魔だし、後々処分に困るので、この際一本一本の思い出を断ち切りながら処分した。 でも、比較的新しく使用に耐える大事な竿が、未だ30本近く残っている。これからはもう一度、時期や釣り場に応じて使い分け、今に見合った竿を見つけたいと思って居る。 さて、小生は「投げ釣り用の竿」に関して、自分自身の体力や技量に応じて、二つの機能面から良し悪しを判断している。 一つは、「投げ(竿)」の機能であり、もう一つは「釣り(竿)」の機能である。この二つの機能が、自分にとって適当に満たされるモノ、・・・これが自分にとって良い竿であると思っている。 長い経験から見ると、投げ釣り用の竿は、これまで「投げる機能」ばかりを重視してきたように思う。しかも、如何に遠投が可能かを追求してきた。いわゆる硬調子の竿である。 ・・釣れる範囲を広く探れることことから、確かに遠投は有利である。また、投げ釣りの魅力として、人よりも遠くに仕掛けを投げ込むと云った競争心を高めてきた。・・それも良いだろう。 ・・・実は、こうした反面、投げ易さ、アタリの楽しみ、細かいテクニックなど、釣り本来の楽しさを実釣できる軟調子の竿・・・、これを遠ざけていたと言えないだろうか。 一つの見方だが、こうした軟調子の竿を持つことを、自ら恥ずかしがる雰囲気すらあったと思う。 しかし、である。・・・投げ釣りの世界も進展し、最近では、競争の釣りから自然環境を重視した、静かな釣り文化が育ち始めているように思える。・・・言うなれば、一尾の魚を、大事に、楽しみながら釣るといった方向にある。 同時に、投げ竿も進化し「投げ、釣り」を、同時に満足できるような竿も出現した。・・この際、ニワトリが先か、卵が先かはどちらでも良い・・。 小生がずっと抱いてきた釣りであり、探し続けた竿が見つかったのである。・・標記に掲げた「シマノ」のキススペシャルである。 これまで、AX〜EXまで全ての種類を使ってきたが、一番軽量なEXでも、未だ物足りなさを感じていたのであった。・・そこに昨年出現した、長さ4.05m、硬さがFX+という竿・・・、すぐに注文し入手したのである。 この竿は、オモリの標準負荷が24号で、細身で、自重310gと云った軽量であるが、軽くも、思いっきりも振れる竿である。それこそ6色以内の範囲を楽に探れ、キスのアタリも、これまでには無い鋭い伝わり方を感じることが出来るのであった。 値段は高いが、小生にとって今、この世界に於いて、これ以上の投げ竿は見当たらない。・・・一言で云えば、誰にも適応する万能の竿だと言っても過言では無いだろう。 もし、選ぶ竿に迷っているなら、思い切ってこれに決めても決して後悔は無いと考える。 ・・冒頭に書いたような禁を破っても言えるような、そんな優れた投げ竿であると思って居る。