鱚介オリジナル工房

「異口径スリーブ」について

投稿日:2022年8月13日 更新日:

「異口径スリーブ」とは、2015年に鱚介オリジナル工房がある精密機器製作メーカーに協力を求め開発した「ステンレス線(以下、針金)を直線状に繋ぐためのスリーブ」です。特徴は、例えば、1.0mm径の針金に0.8mm径の針金、即ち線径の異なったステンレス鋼線を段差をなくし、ストレートに繋ぐことができるのがこの「異口径」のスリーブです。

目的はテンビン造りのためでした。針金を直線状に繋ぐには鞘管状のパイプスリーブか、Wスリーブ(ダルマスリーブ)しかありません。如何に繋ぎ目を細く小さく、抵抗が無く、見た目にも美しくするかが課題でした。しかし、こうした既存のスリーブでは満足した工房製品は作れません。

実際に、多くの投げ釣りマンが線径の異なったテンビンが欲しく自製で作って居ましたが、どうしても、段差の大きな繫ぎ目を持った醜いものしか作れません。・・今でも、この「異口径スリーブ」を知らない方はそうしたものを使っていますが、決して満足して居ないと思います。

・・・しかし、釣り具の部材としても、近代的な機械工作の現場にも、そんな「異口径の針金を繋げるスリーブ」などは存在せず、需要もなかったのです。・・・多くの精密機器メーカーに問い合わせ、会社を訪ね、相談もしました。・・でも、何処も相手にしてはくれません。

相手をしてくれた会社はそれから数年後でした。ある商品のカタログのある部分を見て気が付いたのです。急ぎメールを出し、電話で相談しました。・・・難しい相談でした。・・・が、技術的には日本が誇る「絞りの技術」で作ることは可能である! ただし、どこまで繊細な製品が作れるか、会社として掛かる製作費用と採算性、出来上がった製品が「売れる価格」として成立するか、・・問題は山ほどありました。

解決の糸口はとても幸運なことでした。・・担当の技術者が、釣りをやっていたのです。当方の言い分や説明を理解してくれたのです。製品作りには精度が追及されますが、釣りに使う消耗品であることや塩分のある過酷な条件で使われることなどから、他の工業製品と異なった精密性は不要であり、如何に安価で耐用性のある製品ができるか?に絞られた結果、2種類(1.2/1.0mm径と1.0/0.8mm径)の完成を見たのです。・・もちろん、試作段階では失敗もありましたし、そうした失敗した原材料費の補填もしなければなりませんでした。

1.0mmと0.8mmを繋ぐ1008番

繋げはハンダ付けです

1.2mmと1.0mmを繋ぐ1210番

以上のような経緯で完成できた「異口径スリーブ」ですが、価格は少々高価で、1個当たりの単価は50円です。・・が、これは、世界中探しても無い、鱚介オリジナル工房だけに存在するたった一つの特殊なスリーブです。・・・如何でしょうか??自分で作ったテンビンで魚が釣れた時の喜びは、それこそ掛けがえのない喜びです。 シーズンオフになったら、一度挑戦してみませんか!!また、釣りテンビン以外の用途があればお試しください!!

Loading





-鱚介オリジナル工房

執筆者:

関連記事

「新・湘南テンビン」企画中!近々発売!!

「湘南テンビン」は、彼これ30年ほど前に流行った投げ釣り専用のテンビンで、考案の本元は茅ケ崎方面に住む投げ釣りマンだと聞く。・・これを実用化したのが彼の二宮秋雄さんだが、すべて手製で、4個もある丸目を …

Loading

懐かしきスピードカイソー半ブラに

昔懐かしい富士工業の確か、スピード・カイソー・テンビンオモリと言う、そのストリップ・シンカーが見つかった。今新しくスピード・デルナーが発売されたが、この基は正にこのスピード・カイソーであろう。・・何故 …

Loading

テンビン「真打ち」・・のこと(1)

「真打ち」の出来るまで 今日も平塚海岸に行ってきた。20人弱、今季一番の賑わいだった。・・が、キスの方は数人が1〜2尾釣っただけ。ブログに書いた影響が大きかったようで、小生はその責任を感じつつ頑張ったのだが、結果は0尾だった。 多くの方が、1尾の顔を見たさにウズウズしていることが良く分かった。シーズンインを待ちわびるこの頃・・・、釣りとは、今日よりも明日、明日よりも明後日・・に、期待を込めるもの。これからは1日1日と良くなるに違いない・・。 さて、昨年発売したテンビン「真打ち」について少し…

Loading

「L型異軸-剛力」近々発売です!

「L型異軸-剛力」 2種 オモリ軸とテンビン軸をずらせることにより、飛行中の安定とサビキの安定、更には掛かりの良さを追求したのが「L型異軸テンビン」です。 そしてこの度、新たに「L型異軸−剛力」、「L型異軸−剛力・SMAB」の2種類が加わりました。 これまでの「L型異軸テンビン」は、軸線を1・0ミリ径のステンレス線を用い、形状をL字型とし、コーナーを梁で支える「トライアングル構造」で固定し強化しています。 この度の新しい「L型異軸−剛力」は、軸、梁の軸径を太い1.2ミリのステンレ…

Loading

ハリ抜き?ハリ外し?を造る

卓上ボール盤で! 相変わらずヒマである!! これまで使っていた自製のハリ抜きがもう底をついている。・・・で、新たに造らねばならないと思って居た「ハリ抜き」を10数本作って見た。材料は孟宗竹である。・・実は、数年前に木工所から入手した、肉厚で硬く、良く乾燥した30センチ長の竹材である。 これを15?ほどに切り、竹割りナイフで10ミリ幅に割り、穴をあけ、削って整えていく。 ・・・で、先ずは穴あけであるが、竹材とは言え、良く乾き、硬く締まったこれをキリやルーターでやるのでは正確に開けられないし作…

Loading

2024年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

アーカイブ