投げ釣りのシロギス専用テンビンの研究に取り掛かって早や10年になる。この間、規格化され販売に至ったテンビンは14種に及ぶ。多機能を備えたモノ、目的的に造ったモノなど、未だに人気商品となっているものも多々ある。
この間、試作したがまるで駄目なモノ、実釣に至ったもののダメを決めたものは多く、恐らく、試作品の数は100種類は下らない。たかがテンビンではあるが、投げ釣りを楽しみ、それなりの釣果を得るには無くてはならない隠れた脇役なのである。
形になるには1本ずつ、特殊加工されたステンレス針金を切り、曲げて、スナップスイベルや部材を取り付け、ハンダで止める。・・・通常、1本を完成するには10数工程かかるが、手の込んだものは20工程を超えてしまうものもある。
暇があるから出来るのだが、相当に忍耐も付いたし、指や手の平の厚みも工芸職人みたいに硬くなっている。
造りつつ、何時も、飛び方はどうだろう、サビいたらどんなアタリで、どう食い込むのだろうか、巻き上げは??・・と、ついオタク的心情に至りながら、ニヤニヤもしながら楽しみつつ造り続けているのである。
実は、まだまだ新しい機能を備えたモノ、新しい規格を持ったモノもあろうと思う。しかし、この辺でテンビン造りの幕を下ろしたいと考えている。決して限界を感じたわけではないが、これ以上は、これまでのモノの焼き直しや、人真似にしかならないだろう。また、複雑化したテンビンは使う側の高度な技を要するし、造り手の自己満足にしかならないと思えるからだ。
ここに発表した「真打ち」は、正にこうした思いを込めたものである。自我自賛になるが、このテンビンは、「シンプル」、「飛距離」、[抵抗]、「前アタリ」、「食い込み」等々、何れも投げ釣りにとって必要な機能を備えており、鱚介工房がこれまで造ってきたテンビンを集大成した「欠点が無い、欠点が見つからない素晴らしいテンビン」だと自己評価している。「真打ち」とは、まさに「域に達した」と言う意味合いを持った、最終章にふさわしい名称だとも考えている。
ちなみに、この「真打ち」は2種類からなる。重いオモリや遠投性を求める釣りには、軸アーム1?の「真打ち‐黒」を、一般的な投げやライト向きには軸アーム0.8?の「真打ち‐赤」をお選びいただきたい。ベテランの方も、一度お使いになれば、きっとこれまでの意識が少し変わるかもしれない。・・そんな自信をもってお勧めしたい。
なお、販売は、1パック2本入りセットで「黒」、「赤」、「黒と赤」となっており、鱚介オリジナル工房のホームページ 又は、小田原酒匂の宮嶋屋釣具店で扱っている。
究極のテンビン「真打ち」完成!
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執筆者:高澤鱚介