冬場、足腰を鍛えるために平塚海岸を歩いているのだが、時折、珍しいものに出会う。これもその一つ。 未だ寒い2月の中旬だった。何と、足が8本もある大きなヒトデが渚に打ち上げられていたのである。5本指のヒトデは良く見るが、長い海との付き合いの中で、これは全く初めて見るものだった。 ヒトデは大きなほど波に叩かれ、足が欠損している場合が多いのだが、直径30センチに近いこのヒトデの足は8本ともほぼ完全な状態。 これを直に手で持つことが出来ず、付近に落ちていた針金に結び、ぶら下げて持ち帰ったのである。道すがら、出会った人の好奇な目つき、サッと身を避ける方・・それほどグロテスクで気持ちが悪いものなのだ。 実は、乾燥させて標本を造りたかったのである。 名前をHPで検索した結果、足?手?が8本あるから、単にヤツデ(八手)ヒトデと決め込んでいたのだが、その後よく観察した所、正確には沖縄方面に棲息する「ヤツデスナヒトデ」と言う種類ではないかと断定した。 そして今、出来上がった標本を、平塚市博物館に届けてきた。 標本の造り方は教わったわけではない。良く水洗いし約2ヶ月間、風通しの良い日陰で乾燥させた。カラカラに乾き、臭いも無く、先ずは上出来である。その後、透明な薄めの二液性ウレタン樹脂を、身体全体に浸み込ませながら重ね塗りをして完成させた。ペイントで、過剰なテリも出ずに自然な色彩で、現物とまったく変わらずに仕上がったことに満足している。 実は、家に置きたかったのだが、何とも気味悪く、まあ、それにも増して「珍しいモノ」だと考え、平塚市の博物館に相談したのである。 私は、異常気象による海水温の上昇がもたらした歴史上の一つの証拠かもしれない。・・とも、大げさに思ったのだが、どうやらそうでも無さそう。南房総から琉球にかけての温暖な海域に広く分布するとのこと。相模湾にも少ないが居るとのことだ。(・・そんな声が寄せられた。)・・だが、珍しいのは事実である。・・学芸員の方から引き取っても良いですよ!・・との返事を聞き、ほっとした。 多分、近々には海に関係する場所に展示してくれるものと思う。 なお、海岸でよく目にするヒトデ類の腕は主に五本だが、中には腕の数が少ないものや、十本もあるものなど様々あるそうだ。ヒトデはとても生命力が強い生き物で、体を半分に切られても死ぬことなく別々に腕が再生し、ちぎれた一本の腕からでも再生して元の形に戻るほどだそうな。また、自ら体を二つに切り離し、腕を再生させて増殖することもあるとのことである。 自然界のことはまだまだ未知なことが多く、不思議の倉庫でもある。精々、大事にしたいものだと、改めて考えてしまった。 http://www.rimi.or.jp/dobutu/HITODE.html博物館から連絡が届きました。4.18 PM:6:00[ 種類については、検討の余地があるかと思います。 5月10日から6月1日の期間に、 1Fで新着資料展を行いますので、 そのときに展示させていただきます。 その後は、展示の予定は未定ですので、 お忙しいとは存じますが、 ぜひ、この期間に見に来てください。 ] とのことです。興味ある方は覗いてください。