先日、行きつけの奄美酒房「水連洞」に釣り仲間が集まった。メンバーは村越正海、渡部隆雄、それに私のもう一人のカワハギ釣りの師匠である久保秀一の各氏と、月刊釣り誌2社の記者氏を含めた6人。飛び込み、即決話の集まりでこれだけのメンバーが揃うことは稀な事かもしれない。当然のこと、出た話は釣りのあれこれである。
だが、この日は何時もとはチョッと違った話に花が咲いた。村越氏が、テレビや雑誌には出ないような、例えば、ヘラブナとかウミタナゴ、ウナギの穴釣り・・とかを釣ることは知る人ぞのも知る。・・いわゆる裏の趣味の釣り話である。
共通していたのは、皆、それぞれ少年時代に釣りに目覚め、その釣りの多くが今でも生きていると言うことである。
今、余りにも専門的なジャンルばかり走っているが、もっと原点的な、手近かな釣りが注目されて良いのではないか。特に、子供達には面白さや興味を伝える釣りを伝承していかねばならない。・・と言うことで一致。
そして話題の中心は「手長エビ」釣りとなった。皆さんからの話をまとめると「小さな流れにそっとウキを流し、微妙なあたりを楽しむ。優しく取り込んでバケツに泳がせる。釣った獲物は空揚げで食す。チョッと塩を振って一杯の肴にする。」更に、「塩は〇〇の天然塩でなければならない・・」とか、話は食通の世界へと発展もする。
そして、最後を結んだのが写真家の久保秀一氏。「早速、道具をこしらえ、行ってくる。」と言う。それなら、私にも教えて!! 私も色々な釣りをやったが、手長エビは未だやったことがない。・・だから・・・連れてって!!。
そして数日過ぎた今日、久保師匠からメールが届いた。やったことが無い私が、あれこれ言ってもしょうがない。師匠に承諾を得て、このメールを公開させていただくことにした。
高見澤 様
暑い日がつづくようになりました。
昨日は暑気払いのつもりで酒匂の鮎釣りに出掛けました。
思わぬ好漁に恵まれましたが、突然の雷雨に撤収を余儀なくされたのです。
それならばと、村越氏に教えてもらった河口近くのテナガエビポイントに向かったのです。
テナガエビ釣りは少年時代の釣りと云うよりは、江戸の粋人旦那衆たちも熱中した釣りと捕らえて、小さなシモリウキ一つ一つにも納得できる物をと近くの釣り具屋を探し回りました。しかし結局何も買わずに帰り、釣り道具が仕舞い込んである物置の大捜索をする羽目になってしまいました。
出て来ました。40年近くも前に川の小物釣りに夢中になっていた頃のウキや小物類が小さな箱に詰められていたのです。往事の道具には到底及ぶ筈もありませんが、まずはこだわりと納得の仕掛けを作る事が出来ました。
釣れました。2時間ほどでツを抜く事が出来たので竿を納めましたが大満足。凱旋将軍のような勢いで玄関のドアーを開けたのです。
空揚げは藍色の皿に白い懐紙を敷き朝顔のつぼみを飾って丁寧に盛りつけました。・・・旨かった。
少しでも涼しい日を選んでまた出掛けてみようと思っています。 久保秀一
久保秀一さま(返信)
何とも良く拘りましたね!
最後の、美味かったで、こちらでも朝にもかかわらず口中に唾が溢れてしまいました。
是非、今度教えてください。
勿論、仕掛けも作ってくださいね。・・一つ、モデル的なものをお願いします。
このメール、私のブログで紹介させていただいてよろしいでしょうか?最近、暑くて書きたいことをまとめる元気がありません。
朝のうちに釣って、夕刻に幻の焼酎お持ちしますが如何でしょう?腰を痛め通院中ですが、これなら大丈夫です。
高見澤佑介
高見澤 様
返信メールを、ありがとうございました。
小さなものを釣る時こそ、道具にも姿にもこだわりたいと思っていますが、なかなか為し得ません。
テナガ釣りは梅雨が明けると低調になると云われているので心配ですが、曇りの日を選べば何とかなりそうです。
仕掛けは余分に作りましたからいつでもお使いください。
昨日釣った鮎を開いて干物を作りました。
間もなく干し上がりますから、水連洞さんに酔って一方的に約束してしまったので届けようと思っています。
今日は車で行くので干物をお渡しするだけですが・・・・。 久保秀一
師匠からのメール・手長エビ
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執筆者:東京湾展望台