熱帯性低気圧や台風のニュースが告げられるようになった。投げ釣り日和は意外と少ないと感じるこの頃である。ことに、休日にこれらが来れば、勤めている方には本当にお気の毒である。
最近、トーナメンターと自負される方の間で、タングステンシンカーの改造が流行っている。何れも、改造の目的は「投擲距離を伸ばしたい」と云うがためである。
改造と云っても、シンカー本体をいじる訳ではなく、軸とアームの長さを切り詰め、アームの方を途中から細いモノに接ぎ替える。同時に、軸とアームの根本をしっかり固定するのである。
工房への問い合わせや製作注文も増えつつあるが、その主なものを紹介してみたい。
難しいのは、全体のバランスだが、特にアームの長さである。短ければ短いほど空気抵抗は受けにくく飛距離も伸びるが、同時に、仕掛け絡みが出やすくなってしまう。また、軸とアームの根元の固定方法、接ぎ穂の繋ぎ部分である。
これまで頂いた意見や自分で使ってみての結論から、工房での改造は、軸長、アーム長ともに100ミリとし、アームの接ぎ穂部分の長さは70ミリとした。繋ぎは、12ミリ長の特注スリーブに差し込み、ハンダ付けをし、最後に熱収縮ゴムを被せている。
接ぎ穂は、特殊精密加工によって直線化された、医療用に使われている0.7ミリ径のステンレス線を採用している。
下の写真1は、富士タングステンデルナーをウッドガンに改造したもの、アームと軸の根元はカップワッシャーを被せ、軟鋼線で巻き、ハンダ付けしたものである。
2は、プラスチック製のキャップはそのままであるため、軸とアームの根元部分のハンダ付けが出来ないから、0.6ミリステンレス線で筋交を付け強化たものである。
3は、景山産業のTG18で、根本に軟鋼線を巻きハンダ付けしたものである。
投げ釣り用のシンカーは使う目的や釣り場によって使い分けるものだが、「飛距離を出したい!」という方には、確かにタングステンシンカーは有効である。
ただし、この場合、仕掛けの長さやハリ数が見合ったものでなければ、逆に、トラブルがあったり、飛距離も落ちるから注意が必要である。
因みに、仕掛けは150?以内、ハリ数は3本以内と云う方が多い。言うなれば、使う方の技や研究心が要求されることを付け加えたい。
価格は高いが機能性等を考えると、何個かは持っていたいものである。特に、景山産業の「TG18シリーズ」は他社には無い号数(重量)に仕分けされており、自分の技量に見合った号数を選べることが嬉しい。
なお、この改造について興味のある方は、鱚介オリジナル工房のホームページ・メールからお問い合わせください。
タングステン・シンカーの改造
投稿日:
執筆者:高澤鱚介