昨日、ずっと気になっていた友人の母を見舞った。昨年、90歳にもなるご高齢ながら、大腸ガンの手術をなされたそうだ。今は順調に回復され、声も昔と変わらぬ張りがあり、顔色も良く、病後を思わせぬ元気を取り戻されている。足に衰えがあるのは致し方ない。リハビリィで回復できると信じている。親御さんの面倒に終始したご家族と、近くに住まう妹さんの献身的な孝行に頭が下がる思いである。何時までも、子等に苦労は掛けようが長生きしてほしい。
ほっとした所で、昨晩は、自らの健康も含めてヒレ酒で乾杯した。ヒレ酒のヒレはフグと相場は決まっているが、私のは、カワハギのヒレ酒である。先週11日に小網代で釣ったカワハギからこしらえたモノである。これまでカワハギ釣りやカワハギ料理に縁はなかったが、カワハギは剥いた皮とヒレ以外は全て美味しくいただけることは良く知っている。だが、下ろしているうち、ふと、この尾ひれが気になった。もしかして、ヒレ酒??と考えたのだ。一度は捨てた尾を拾う。束子でしっかりと洗ってから、裏返ししたザルに貼り付けるように並べて干してみた。冬の乾燥が手伝って、上がりはグーである。ただ、尾ひれの先端部は薄く、焼くときには注意が必要だろう。
そんな具合で、昨晩、これを試してみたのである。
私は以前、日本酒が大好きで日本酒ブームと言われたその頃、近所にあった地酒専門店に良く通い「日本酒文化の会」にも所属したこともある。しかし、ヒレ酒に合う酒などは知らない。ただ、上等な酒は要らないと思う。熱燗で香りは飛ぶし、ヒレ独特の香りと味で、その良さが無くなってしまうと考えるからだ。たまたま家にあったのは、山口県岩国の酒井酒造「五橋」という酒。先ずは、これを徳利に入れ熱々に燗をつける。干しあがったヒレを箸で持ち、黒く焦がさないように骨部を中心に焼き上げる。そして酒飲碗に入れ、熱燗を注ぐ。
直ぐにホワーとした湯気とともに、香ばしいヒレの香りが舞いあがる。フグとの違いは?と聞かれても、なんら遜色はないとみた。ただ、ヒレは少しだけ余分に入れたほうが良いかもしれない。肴は、チルドに保管してあったカワハギの身と、冷凍室にあったキモで調理したお造り。味わいながら、釣り人としての特権を、また、改めて感じた次第であった。
??の尾ヒレ酒
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執筆者:東京湾展望台