最近、一人の青年が「本当の投げ釣りを憶えたい!鱚介先生、教えてください。」とメールや電話を入れてきた。
そう言う彼は、いろいろと釣り雑誌等で勉強をしているらしく、先ずは、○○○の最新モデルのスピニングを買いたいとも云う。メールからも、しゃべり方からも素直な青年であると分かったが、やはり顔を合わせないと・・・。そして、行きつけの小田原酒匂の宮島屋釣具店で落ち合った。
写真が彼である。まあ、名前だけは紹介しても差し支えないだろう。上村大介君(36歳)といい、新橋で飲食店を経営する好青年である。写真のもう一人は?・・ご存知、釣りの大家服部善郎名人である。何故?このようなツーショット?・・・・それは後で云おう。
彼は川崎港の堤防で、五目釣りはやっていたようだ。一応、投げ釣りの道具は持っているが、単に、何であれ、釣れる魚が釣れればそれで良しとしていたようだ。
・・釣りの始めは誰しもこんなものだろう。ただ多くは、もう一歩踏み込もう、ベテラン達に教わろうとする勇気が無いのだ。だが、彼は、やるならキッチリとした趣味、本物の趣味を会得したい・・と、何かの拍子で感じたのだろう。
小生を「先生!」と呼ぶ。「止めてくれ」と言ったのだが「自分が教わるのだから、先生は先生だ。そう呼ばせてください。」とはっきり云う。・・・譲りそうも無い、芯はしっかりしてる。 まあ、良いか!ということで、今や言われるままに受け応えているが・・。
未だ、実釣は数回だが、素質はある。第一に、云うことや為すことをしっかり憶えようとする。分からないことは何度でも納得するまで聞いてくる。今では、ハリはしっかりと結べる。ハリス巻きの器械を買いたいと言ってたが、これは諦めてくれた。そして今、エダス付きの仕掛け作りも完璧に近く憶えてくれた。
また、アイスボックスには、我が工房のオモリュックを付け、竿置きも、エサ箱も定位置に付けるように装備できた。
そんな彼に、鱚介工房のアウトレット商品だが、小生が気に入っているデザインの竿立てをプレゼントした。あとは、連れ回すだけだ・・。
(以後、このカテゴリーで、彼がどのように釣りの道をたどって行くのかを興味を持って書いていきたいと思っている。)
さて、冒頭の写真だが、昨日、大先輩の服部名人から、スポーツ紙の釣欄でいま釣れている秋ギスを対象に、誰にでも入門し易い“投げ釣り”をとり上げたい。ついては誰か、若い適当な人(モデル)は居ないか?・・と問われたのである。
正に、ここに一人居る。そんなことで、ビギナーの彼を推薦したのだ。
実は、昨日の今日、東京に住む彼には有無を言わさずに協力してもらった。低気圧の影響で波の状況は良くは無い。しかし、ビーチセンター下のテトラ前だけは静か・・、先行者も好調に釣れていた。
11時、遅い釣りを開始した。彼に、用意した軟調の竿と軽量なスピニングリールを持たせたところ、以外に手さばきは良い。ピンギス、アゴナシ(ツバメコノシロ)、クサフグと、あ!・・当たった!!・・と、次々に釣り上げる。
小雨降る中、釣果もあったし取材も順調に進んだのは幸いであった。13時30分終了。釣果は写真の通りである。
台風の荒れが治まり静けさを取り戻せば、秋ギス(ピンギス)の盛期到来である。そして、海水温が下がっていくのと同時に、待ちわびたヒネがあちこちで釣れ始める。一度経験したら止められなくなるような、そんな大きな強い引きのシロギスを是非、彼に釣らせたいものだ。
新たなる釣友
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執筆者:高澤鱚介