写真は、28センチの大ギスである。
5日から10日まで、晩秋から初冬に大ギスが釣れるという若狭から丹後半島にかけて、釣友の宇都木朗君と釣行してきた。きっかけは、手取投友会の宮本幹治会長からの誘いに乗って、北陸を中心とした複数の釣りクラブが主催する「年忘れ納竿投げシロギス釣り大会」への参加だった。
ならば、初めて行くご当地だから、丹後半島まで足を伸ばし、平日の静かさの中ゆっくりと大ギスを狙おうと思ったのである。残念ながら期待した大ギスの数釣りには恵まれなかったが、季節毎に沢山釣れるであろう良き釣り場を幾つも確認してきた。
6日(日) 敦賀市気比(けび)海岸で行われた大会には約80人が参加。・・数釣りを競うものであった。参加費は無料。ただし、一人1品の賞品の持ち寄りである。・・鹿角で作った竿立てを始め、多くの手造り道具や産物などが並んでいた。小生は鱚介工房のウッドガンの詰め合わせ、宇都木君は鱚介テンビンの詰め合わせを提供・・。これらを上位者から順に、全員が好きな物を貰うといった“物々交換的な面白い”運営をしている。
参加者には、松尾、日置、西向、佐織等々の顔があり、遠路神奈川から小町、加藤、渡辺、高橋の面々も参加していた。(敬称略)
結果は大小混じりで、トップが17尾。小生は7尾で20位。賞品に地元産の「九十九橋」なる銘酒を頂いてきた。
午後からは自由な釣行が始まる。だが、この日、外海は冬特有の北の風が強く波が荒れ、敦賀湾の奥に位置するこの気比海岸は静かだったものの、何処の釣り場も釣りにならないと聞く。
そんな中でも、小浜市のフィッシャーマンズワーフ前の船着場ならと聞き行ってみた。しかし、風波でダメ、竿は出せず・・。次に、宿泊地である高浜町の漁港に行ってみた。内海で静かではあったが、何のアタリも無くこの日を諦めた。
7日(月) 宿を早朝に出て、舞鶴市の野原漁港の突堤に行ってみた。まだ暗い中着いたのだが、時折り波が堤防を越えてくる。時化は治まらず、漁師から、危険だから止めとけ!・・と、注意もされ引き上げる事とした。
行った先は、宮津湾の最奥に位置する宮津市の西宮津公園前。背後は松林で、釣り座は整備された低い護岸からである。雨模様ではあったが無風状態で、波は無く静かである。・・しかし、数投したものの18センチクラスが数尾だけだった。
次に、天橋立に行ってみた。宮津湾の西側に浮かぶ松林の海廊で、多くの観光客が訪れる。今の季節、海岸に来る客は無くゆっくりと釣りができそうである。しかし、砂浜海岸では、遠近投げるも全くダメ。おまけに至る所アマモが生え、根掛かりが多く釣りづらい。
ならばと、釣り座を変え比較的深みが有りそうな江尻漁港に近い石積み突堤に行ってみた。・・やっと、そこで20センチクラスが2連、3連と来たのである。ホッとしながら、10数尾は釣ったろう。・・暫らく釣って、昼食に・・。
食事後、再び同じ場所で挑戦。やっと本命が来た!! 26センチ、23センチの良型と、18〜20センチ級が20尾ほど釣れたのである。潮が動き始めたからだろう。エサはジャリメで、4色付近のアマモの生え際が良かった。
夕刻、この日の宿泊地、京丹後市の間人(タイザと読む:言われは写真で!)に行く。実はここにある海岸が、かの有名な大ギスの宝庫と云われる「後ヶ浜(ノチガハマと言う)」だ。晩秋に、大物がクーラーに入りきれないほど釣れたこともあるという。
・・だが、300メートルほどの海岸には大波が押し寄せ、全く竿を出せる状態にはなかった。
この日ともう1泊は、この間人(たいざ)を予定している。宿泊は、かなり注目度が高い「うまし宿:とト屋」という旅館に世話になった。我等釣り人には少し贅沢過ぎる小奇麗な宿だが、宇都木君が交渉し、特別料金で2泊する予約をしていてくれたのだ。
宿に、この日2人が釣ったキスを処分してくれるよう頼んだ所、気さくに気持ちよく受け取ってくれた。さらに、夕食に「塩焼きと天ぷら」に姿を変えて馳走してくれたのである。それも手伝ってか、すっかり飲み過ぎてしまった・・。
8日(火) 8時頃、宿から直ぐの後ヶ浜に出て見た。相変わらずの大波が砂浜を洗い、これでは釣りは出来ない。
駐車場で大阪から1人で来たと云う、安河内さんと言う方に会った。情報交換もし暫らく様子見をしたのだが、一向に好転する気配は無い。また、彼の話しでは、何処の海岸も北に向いており荒れの状況は変わらないと云う。
・・そんな事で、再び、宮津市の天橋立に行くことにした。
海岸沿いの道をたどり、途中、幾つかの漁港に寄ってみた。しかし、本荘浜で18センチとピンギス2尾が釣れただけだった。
10時過ぎ、天の橋立に着く。先ずは、昨日と同じ江尻漁港近くの石積み突堤に行ってみた。だが、状況は変わり、北東の風が強く、遠くも近くも投げてみたがアタリは無い。やむなく場所を色々変えたのだが、小生には全くダメ。1箇所の突堤で粘った宇都木君に、24センチと21センチがきただけだった。
午後3時ごろ、間人(たいざ)の後ヶ浜に戻る。風は止んだものの、波は相変わらず高い。そんな中、一人の投げ釣りマンが中央部で投げていた。様子を聞くと、1週間前に27センチ2尾を頭に、良型ばかり70尾ほど釣ったとのこと。ただし、今日は全くダメだと言う。
確かにキスは居るのだ・・。ただ、状況が余りにも悪い。・・数投したが、何とガタガタと竿先をゆするのは20センチ級のアジで、それも3連ずつ喰ってくる。波にもまれて落ちるものが多かったが、それでも20尾も釣ったろう。
翌9日(水) 朝、天気は良く期待しながら後ヶ浜に出て見た。確かに、波は治まったものの30波に1回くらい、急峻な砂浜を駆け上がってくる大波が足元を洗う。一旦荒れた冬の日本海は回復が遅く、凪たほんの1〜2日が狙い目で、又、直ぐに荒れが来る。そう云った状況が冬中続くのだそうだ。
中央部で数投したがダメ。立岩周辺に移動してみたが根掛りも多く、昨日釣れ盛ったアジさえ来ない。西側に行った宇都木君もダメとのこと。
止む無くと言うか、“午後になれば釣れ始めるかもしれない”・・といった予測に後ろ髪を引かれる思いで、ここを諦める事とした。
ならばと、2日目に大波が被っていた舞鶴市の野原漁港にいく事に・・・。
野原には午後2時に着く。穏やかにはなったが、堤防先端には先人が一人居いた。カレイ狙いで、3本の竿を出していた。野原の釣りは突堤の先端しか釣れない。・・昔、仲間4人で来た事があるが、その時も先端に入れたものだけが大ギスをヒットできた。
・・これでは釣りにならない・・と、逸る気持ちが萎えてしまった。・・止む無く小生は、港の中に投げざるを得なかった。しかし、そこは根や生簀の錨などが多く、根掛りで、4回もチカラ糸を切ってしまったのである。
幸いに、宇都木君は高い方の突堤に乗ることができ先端方向に投げられた。・・結果、小生はダメ。宇都木君は、23、20センチのシロギスと、40センチオーバーのホウボウを釣って終了とした。
実は、この日は宿泊地を決めておらず、釣れる状況によって現地で調達しようとしていた。明日を考えるとこの野原に泊まる事が最良・・。・・だが、53軒もある民宿なのに、何処も夏だけの季節限定とのこと。1軒だけあった“年間宿泊OK”の看板に期待し交渉したのだが、ここでもで断られてしまったのである。
そんな事で、一旦舞鶴市内まで戻り、ビジネスホテルに泊まることに・・。夕食は、市内の「卑弥呼」という大衆酒場に行って見た。そこには何とも、こちらでは味わえないような若狭湾で獲れた豊富な魚が並び、心行くまで酒と料理を味わうことが出来た。・・金は掛かったが、民宿より良かったのかもしれない。
10日(木) 5時30分にホテルを出て野原を目指す。兎も角、堤防先端を確保できるか否かで勝負は決まる。まだ暗い中到着。だが、何と、先端に釣り人の灯す明りが見えるではないか。・・しかし、幸いなことに、その釣り人は高い方の突堤に上がって、湾口に向けて青物狙いをしていた。
急ぎ、暗い中ではあったが、先端にクーラーを置き場所を確保することができた。・・・これで一安心である。
・・宇都木君は、ヘッドランプを点けて仕掛けを整え投げ始める。小生はノンビリとコンビニで買った温かいカツ丼ニギリ飯(珍しく美味かった)を食いながら、明るくなるのを待つ。
小生はここまで、ダイワの新しい振り出し竿トーナメントサーフ30SVFを使っていたが、これを止めて、愛用のカムイツクシィ(改造)にすることにした。これに軽いオモリを付け、3色付近の船道を狙う事にしたのだ。
時間が経過する中、先ずは35センチのカレイが、岩イソメで釣れる。肉厚で美味そうなヤツだ。そして8時頃だった、我が愛竿にグウゥーン!!とした強いアタリが入っる。・・・大ギス特有のアタリである。・途中、何回も突っ込まれたが、やがて水面近くに映った魚影は紛れもない巨ギス。・・引き上げる際に、やったー、これだーっと、多分、大きな声で叫んでいたに違いない・・それほど興奮してしまったのである。
記念の写真を何枚も撮ってもらい、その後測ったところ、見事28センチをほんの少々超えていたのである。
まさに、これを釣りに来たのである。・・たった1尾!と言うかもしれないが、厳しい思いをし続けた中での1尾である。
出来得れば30オーバーが!!・・という気がしないでもないが、自分としてはこの28センチが今回の遠征に満足をさせてくれたし、気持ちよく終了の決断を付けさせてくれたのである。
以降、予定の終了時間である11時半まで粘ったが、釣れたのは20センチクラスが1尾だけだった・・。
ただ、嬉しい事に、10時を廻った頃に宇都木君に23.5センチがきたのである。
キスの大物師である血気盛んな宇都木朗君、今回は優しく歳寄りの部類に入る我に、華を持たせてくれたようである。
また、今回初めて丹後半島に来ることができたが、幾つもの浜を見て“何故今まで来なかったか”を反省している。食い物は美味いし、人の人情も厚そうである。
是非“何時か又、最盛期を狙って来たいものだ”と、そんなことを憶える遠征釣行であった。
(長文にて失礼!!)
丹後に大鱚を求めて・・!!
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執筆者:高澤鱚介