モノを作るには、まず、使う道具(冶具)をきっちりと整えること、そして適切な材料、部材を揃えることである。残るのは職人的腕前であるが、兎も角、数をこなして経験を重ねることだろう。
小生はまだ職人の域には及びもしないが、諦めずに最後までやり遂げようとする頑固さは持っている。これを繰り返すうちに、自分なりに納得できる確率が高まっていることは事実である。
そこで、今回は小生が使っている道具(冶具)と材料、部材について紹介しよう。(自製の場合、道具、材料は手に入るもので良く、代用は可能であることを付け加えておきたい。)
1 道具(冶具)を整える。
? カッターペンチ
硬質ステンレス線を(重ね)切りできるものを選び、ドイツのKNIPEX社製のR83を使っている。両刃で、ピアノ線の3.6ミリまで水平切りが出来る優れモノである。
? ニッパ
熱収縮パイプを水平にカットできるフジ矢製のプロテックニッパ超硬刃付150?サイズを使っている。
? クルックリン具(丸目冶具)
当鱚介オリジナル工房製の「クルックリン具-?型で、0.8、1.0、1.1、1.2?の、線径に適応した専用冶具を使っている。
? ヤットコ
ヤットコは日本独自の工具と言われ、つかむ面に凹凸が無い平面仕上げのペンチである。針金に傷を付けずに、丸目調整や曲げた線を整えるのに使用する。
? ハンドプレッサー
スリーブを圧縮し固定する(かしめ)ための道具
? パイプ折り曲げ冶具(自製)
当鱚介オリジナル工房製で、スリーブを嵌めた線を「くの字」に曲げるために考案した金属製のパイプ治具である。曲げた際に生じるスリーブの割れや折れを防げる優れモノである。
? ハンダごて、ハンダ、ステンレス用フラックス
ハンダごては、大洋電機産業製のピストル型をしたTQ-77。ハンダは、千住金属工業製で特注品として造ってもらった「銀入りハンダ線」。フラックスは白光(株)製のサスゾールFをそれぞれ使用している。
? コテライザー、専用ガス
熱収縮ゴムを処理する冶具で、中島(株)のガス補充型のハンディ式コテライザーを使用している
2 材料と部材・・企業秘密?もありメーカー名等は伏せさせてもらいますが・・・。
? ステンレス線
医療機器やばね用に使う直線硬質ステンレス線「SUS304H」を使用。
? スリーブ
「くの字」に曲げる部分の補強用に嵌めこむ線径に見合った12?長のスリーブ(特注品)、及び、ビーズ止め用の線径に見合った8?長、5?長のスリーブを使用。
? ビーズ
金属製ビーズ(特注品)で、線径と強度規格に見合った各種サイズを使用。
? フック付きスイベル
高品質のステンレス製のUGガイドトール(破断力42?)を使用。
? 熱収縮チューブ
電線等の被覆に使う住友電工製のスミチューブを採用。スリーブ部分を線径、種類に合わせたカラーを選び使用。(ヒシチューブは三菱樹脂製)
次回は、これらを使っての具体的な作業工程を披露しよう。
テンビン「真打ち」・・のこと(2)
投稿日:
執筆者:高澤鱚介