鱚介オリジナル工房が目指すテンビンの究極は、アーム側のステンレス線がテーパー状になったものである。
単独のテンビンでも、テンビンオモリであっても、例えば、アームの基部線径が1.2ミリで、先端にかけて0.7ミリほどに徐々に細くなったような形状にしたいのである。
しかしながら、このテーパー状になったステンレス線素材を入手することは絶無に近い。数年前から関係筋に当たっているが、そうしたものの需要は無く、現存したものは無いと言う。
ならば、製作できるかと問えば「出来ないことは無いが、手作業で一本一本作ることになり、価格は途方もなく高くなる。」と言う返事ばかりで、親身に相談には応じてくれない。
でも、これからも色々な工業分野で作られている部材で、応用出来るものを見つけて行きたい希望は捨ててはいない。
そうした中、鱚介オリジナル工房では、異なった径のステンレス線を繋ぎ「接穂アーム」として、何種類かを作成している。
実は、これがまた苦労する。ステンレス針金を繋ぐには、アーク溶接であれば仕上がりも綺麗に出来る。しかし、繋いだ部分が極端に弱く折れ易いとも聞き、また、装置もままならず、高価で製作時間も掛かり過ぎ、とても製品化には結びつかない。
そこで現在はスリーブを用い、カシメ、ハンダ付けをしている。スリーブは、造るテンビンによってシングルやダブルを使い分けているが、いずれにしても出来上がりが醜く、最後は熱収縮ゴムで化粧し仕上げているのである。
また、スリーブも種類が少なく、長さが短く、針金に見合った径を持ったモノが少ない。工房では、何種類かは特注で造ってもらっているが、それでも思ったような製品には届かない。
ならば、線径の異なった段違いの接手スリーブがないものか?と、幾つもの関係企業のホームページを捲った中に、確かに、それらしきものを発見!!・・・。ただし、工房で使うステンレス線に見合った素材か?線径は?価格は?等々・・詳細は不明・・。
早速、その企業に問い合わせ、相談に乗ってもらうことができたのである。やる気、前向きな企業は流石である。・・すぐに対応してくれ、実は昨日その試作品の1号が出来上がってきたのである。
・・・写真がそれである。既存のスリーブとは違い、我が工房で使っているステンレス線と同じ材質(SUS304)で、肉厚が薄く、段違いがとてもスムーズに仕上がっている。これであれば、充分に使えそうである。
現在、この規格の確定や価格決定(可成り高価?)の協議を進めているが、是非ともこれを採用したテンビンを造っていきたいと思っている。
また、その「段違いスリーブ」を広く販売し、資金を補えればと考えているのだが・・・。
段違いスリーブ!一歩前進!!
投稿日:
執筆者:高澤鱚介