秋晴れの昨日、ひょんなことから沖釣りのエビングに挑戦することが出来た。正確には、エビングのモノマネと云ったほうが良いのかもしれないが・・・。
そもそもエビングとはどんな釣りなのか。・・今、村越正海氏が遊漁の一つの釣法として確立しつつあるもので、彼の言葉を借りてちょっと紹介しておきたい。
『エビングというのは、テンビン仕掛けを使ったワーム釣り。元々、沖縄県の糸満漁師が考え出したもので、パヤオ周りのマグロ釣りに絶大なる威力を発揮している。 ぼく自身がエビングを知ったのは、昨年(06年)の春。気心の知れたアユナ丸の船頭さんに、「だまされたとおもって一度試してみて」と教えられたのがキッカケだった。 実際に試してみて驚いた。釣れる、釣れる、プラグにもメタルジグにも全く反応しなかったマグロが、なんと入れ食いになってしまったのである。』・・といった大物釣りの釣法である。
もう少し言うと、直線のテンビンの上部から10センチくらい下にメタルジグを装着し、下部に大き目のハリを付けた長めのハリスを結ぶ。そして釣るには、ハリにワームと呼ばれるソフトルアーを付け、メタルジグをオモリとして沈ませるのである。後は、リトリーブ(しゃくり?)を繰り返し、魚を誘って釣るのである。事実、村越氏が先月、平塚庄三郎丸で7キロのキメジをこれで釣ってきた。・・行きつけの水連洞で皆でお祝いだ!といってこれを堪能させても貰ったが・・。
こうした釣りは、私には縁遠い。ただ、何もマグロなどで無くともよいから精々4、50センチ級の魚なら釣ってみたい・・そんな思いはあった。
この日、後輩釣友の角田清志君に誘われて訪れた先は、伊東のマリーナ。彼の友人である遠藤宏さんの持つボート・・クルーザーとは少し違った釣り用のボートである。もう一人の友人、柴田秀幸さんと4人で午前9:00に出船。新しく乗せ換えたと云うボルボの快調なエンジン音を聞きながら、行った先は伊豆大島の南側。マグロが回遊すると言われる海域であった。
しかし、海鳥の群れも無く、カツオやマグロのハネも見えない。沖釣りを余りやったことの無い私だから、マグロ狙いなどとは大反れている。ただ、深い海に仕掛けを垂らせば、きっと何かが掛かるものと信じている。
早速、自己流で造ったエビングの投げ用テンビン仕掛けをセットした。(投げ釣りマンだから拘るわけではないが、“投げる”という所作が少しでもあると安心できるのだ・・)
そしてエサにしたのは、バスフィッシング用のドジョウのようなワーム。底まで落とし、リトリーブを繰り返す。ガガツーン・・と来たのは、何と40センチを越えるハタだった。やったぜ!!確かに釣れたぞ!
エビングとはこうした釣りなのか?・・バス用のワームでも釣れるのか?・・と言うのが、第一印象だった。
暫らく後、今度は、ピンク色したドバミミズみたいなワームを付けてみた。かなりのアタリにきたのは、30センチ級のカンパチだ! ・・・そしてもう一尾。サソリみたいな格好をした赤と緑の混じった変なワームに、・・ガバッ!!ときたのは、真っ赤なカサゴだった!!
何と、船中4人の中で、我がエビングにだけにヒットが続いたのである。昼を過ぎた頃、島の北に回ったところで角田君にアカハタが、・・柴田さんにオジサンがきただけ・・残念ながら、遂に目指す大マグロとの出会いはなかった。
午後3時ごろ帰港。戻って聞いたのだが、この日、同じハーバー所属のボートが43キロと24キロのマグロを仕留めたそうだ。43キロは、同ハーバーの記録とか、これからも当分の間、マグロが釣れそうとのことである。
何とも不思議なのだが、この日使った私の道具は全て3年前に亡くした息子の遺品。竿は、アブのソルトウォーターオーシャンスチック8フィート。リールは、ダイワのスーパートーナメントEX‐i 2000。ラインはPE5号。リーダーの結びまで、そのままの状態で使った。おまけに帽子もフロートもだ。そんな古い道具だったが、何のトラブルも無かったし釣果も満足できるとても楽しい釣行だった。
秀志の命日は、明後日の24日である。このことを墓参りで報告はするが、今日の私の釣りを天国から操作したのは彼だから、きっと笑って聞いてくれるだろう。
エビングに挑戦
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執筆者:高澤鱚介