ホシギス狙いから時間がたったが、未だに30?の大ギスを釣ったときの感触が五体に残っている。
こんな中、沖縄在住のある投げ釣りマンからメールが届いた。釣り歴は浅いが、今、キス釣りに嵌まりつつある方で、一つの経験を通して、とても素直で研究心旺盛な気持ちを感じる内容だった。
そんなことで、彼との往復レターをここに紹介する。文はとても長くなるが、少し読みやすく修正を加えたので興味ある方はお読みいただきたいと思う。
2月5日 YKさんからのメール
鱚介様 こんばんは! 昨日届きましたウッドガンスリムを、今日のホシキス釣りで使わせて頂きました。生憎、強風のため十分な遠投ができませんでしたが、ひとつご報告があります。
4,5回ほど遠投したところ、ウッドガンの木と錘の部分に隙間ができ、接合が外れてクルクル廻ってしまう状態になってしまいました。分離することはないでそのまま使っています。何か、硬いものにぶつけたせいかも知れません。特にクレームではありませんで、ご報告までとの思いでメールさせていただきました。
2月6日 YKさんからの詳しいメール
鱚介様 こんばんは!
さて、ウッドシンカーについてですが、昨日のことを思い返してみました。
投じた場所は〇〇ビーチの岸壁からの釣りでした。そこからの最後のリーリングの時、直下の敷石での根がかりを避けるために勢いをつけて竿を引き上げたのです。その際、勢いが余り、何回か護岸にぶつけてしまいました。それが原因だと思われます。
決して商品の欠陥ではありませんので弁償の必要はありませんし、逆にご迷惑をお掛けしたような気分です。私の使い方に問題がありました。今後は、同様な場所での使用には、ゴムバンドでも巻いて対応します。
さて、話は変わりますが、ド素人の私ですが一つお聞きしたいことがあります。
当初、私は「ウッドシンカー」は水中で立っているものだと思っていました。(同様に天秤も立っている。)地元のベテランさんにそのことを伺うと、実際は倒れていて天秤も寝た状態とのことでした。
そうであれば、当然餌も海底に横たわっている状態だと考えられます。当地は泥地も多いですから、餌が隠れてキスに見つけだせないこともあるのではないでしょうか?(匂いでみつけるのか?)この季節キスが釣れなくなる理由のひとつに、海底に「藻」が生えてきて「餌を見つけにくくなるから」とも聞きました。
そこで私の考えは、エダスの先(針の近く)に浮力体を取り付け(ラインを通すようなもの)、エサを海底から少し浮かせることが出来れば、視認性がよくなり食い込みのみの抵抗が減り、オマケに海底を引きずらないのでハリの根掛りも減るのではないかと考えています。
先日水槽で飼われているキスを観察しましたが、底から10cm以内を回遊していました。目線より上のものには興味がないように感じました。浮く餌の高さもそれくらいがいいのか。(浮く高さの調整は浮きを針側とモトス側の間を移動することで可能か、なんて勝手に想像しています。(笑)
・・・如何なものでしょうか?鱚介様の「辛口」なご意見お待ちしております。
2月6日 YKさんへの返信
YKさま 良く分かりました。ご質問と併せて、私の知ることをお話ししましょう。
確かに、あそこは壁にぶつけやすい釣り場ですね。何回かやっていますが、でも、ぶつけずに引き上げることは十分可能です。…練習を!!
まあ、それはそれとして、20号を1本ですが昨日郵送しました。気にせずにお受け取りください。ゴムなど巻かずに先ずは練習してください。…当方には、売るほどの在庫を用意しておきますから・・。(笑!)
さて、ウッドシンカーですが、鉛が15号以下で110ミリの単体のモノなら、浮力によって立った状態が見られます。しかし、上に、テンビンと仕掛け、さらに力糸や水流の重みが加わりますから、実際には、浮き立つ状態にはならずに、浮き上がりたがった状態で寝ています。
ウッドシンカーの特徴として、こうしたウッド部分が浮き上がりたがっている状態でサビかれますと、スッと浮き上がります。また、ゴツゴツとした岩に鉛が当たった感触があったら、少し勢い良くサビきますと、ポンッと浮き上がって根掛りを防げます。
もう一つの効果は、魚の食い込みの時、エサが自然に近い状態で置かれることになり、ハリは抵抗なく吸い込まれ、口中深く入ります。そして気が付きホキ出そうとしたときに、喉元や口元に掛かります。
何時もそうだとは限りませんが、欠点もあります。それは、ウッドシンカーは軽いためハリが口に刺さりにくく、ことにハリ先が訛ったハリではバレが生じます。そんな時、私は小さなアタリ(前アタリとでも云いましょうか)を感じたら、少し強めにサビきハリを確実に掛かるようにしています。
これを「合わせ」と言いますが、一般的なハリならば良いのですが、気を付けなければならないのは「キスZ」と云うネムリ針です。大物が掛かった瞬間に強く合わせると、ハリの懐が開いてしまい伸びてしまうのです。
ネムリ針の効果は、ハリ先が内側に曲がっていますので、食い込んだら外れない。根掛りもしにくい。と考えられ、キスのはえ縄や、投げの待ち釣りに適すると言われます。
沖縄の大ギスには、〇〇さんが使っているササメのネムリ流線12号が、ネムリの中でもっともお勧めの一品です。ただし、待ち釣りには良いのですが、合わせではヌケを感じます。
ハリは一長一短がありますから、湘南ギスとか、東京アブミとか、競技用とかの9〜12号が無難で、力の強いホシギスに適すると考えます。
(少し、本題からズレてしまいましたね・・・。)
キスのエサですが、臭い、色ともに大事で、海底にあっては姿や形、大きさなども影響を持つと思われ、その海域になじんだエサが一番良いと思います。経験的には「島ミミズ」以上に優れたエサは考えられません。
また、キスはゴカイ類だけでなく、エビやカニ、貝や小魚など貪欲に喰います。さらに、エサを喰う状態として、水温、濁り、海流等が大きく影響し、その一番良い環境を求めて移動するようです。
次に、キスが住む海底ですが、キスは危険から守るため瞬間的に潜り込めるような柔らかい砂地と考えられています。 いわゆる砂泥状態の底にはおらず、本土ではそうした砂泥地にはメゴチとかアナゴが居ます。
また、おっしゃる通り、キスは海底から10〜30?位のところを下向き加減に泳いでいます。子供の頃、潜ってよく観察してました。小さなキスは大きな集団で、大きなキスは大きくなればなるほど小集団となり、大ギスは単独で行動するようになります。
沖縄でも、底が藻で覆われるようになったり、固くしまった砂場や岩盤があるようなところには居付かず、柔らかい、リーフが砕けた砂地や、一般的な小ジャリや砂のあるところに居るはずです。
また、大物は、近くに根があったり、水脈筋に潜んで行動していると考えられ、そうしたポイントを知り攻めることが大事だと思います。
そんなことですから、オモリが砂に沈むことはあっても、仕掛けやエサまでもが砂に潜ってしまうことはないと考えます。待ち時間が長くなり心配であれば、そっとサビいてエサを浮かせ、少し位置をずらせば済むと思います。
私も時折、仕掛けの先端に小さな発砲ウキを付けることもあります。・・それは、エサを動かしてアピールすることにあります。ただ、それによって警戒心を与えるとも考えられることから一長一短があります。
私は長い経験から、仕掛けの糸の長短、エダ素糸の長短、糸の太さ、ハリの重さなどなどを変えることで、その釣り場に合うと思える仕掛け選んで使っています。結論的には、仕掛けは常にシンプルが一番だと思っています。
少し長くなりましたが、私自身も沖縄のキス釣りは素人です。これからもまだまだ研究していきますので、どうぞ貴兄に於かれましても、さらに研究しながら楽しい釣りにお励みください。
2月7日 YKさんからの返信
鱚介様、こんばんは!
大変恐縮しています。私の未熟さゆえ・・、今後はしっかり練習したいと思います。
仕掛けについては、予想してはいましたが「釈迦に説法」でした。ご丁寧に説明して頂きありがとうございます。何度も読み返し、「キス釣り」の際は、それを脳裏に想い浮かべながら励みたいです。
数ある魚のなかでどうして「キス釣り」に惚れ込んだのか自分自身よくわかりませんが、地元ベテラン釣り師〇〇さんからの影響が大きいことは確かです。
まだまだ未熟ゆえ「釣果」は大したことはありませんが、諦めることなく楽しくやっていきたいと思います。今後ともご教授よろしくお願い致します。・・では失礼します。
・・と言うものでした。
沖縄からのメール!!
投稿日:
執筆者:高澤鱚介