本年1月8日の本欄で「段違いスリーブ」が間もなく完成すると発表したが、それは見事に失敗した。当方の設計が甘かったためで、要らぬ出費もしてしまった。
その後、規格、材質、製作工程などを徹底的にメーカーに研究してもらい、この度やっと完成にこぎつけた。そして名称も新たに「異口径パイプスリーブ」(略称:異口径スリーブ)と命名することに決まった。
これを簡単に言うと、2本の異なった径の針金を両サイドから差し込み固定し、1本の針金に仕上げる金属製の接続パイプで、テンビン造りに於いて必要不可欠な部材なのである。
いまの工房では、2本の針金を繋げるにはダブルスリーブで重ね合わせるか、シングルスリーブに両サイドから差し込み、カシメ、ハンダする方法しか無いのである。こうして仕上がったテンビンは熱収縮ゴムの被膜も重なって構造上太くなり、どうしても使用中の空気抵抗や水抵抗を受け易い。同時に、デザイン的にも見苦しいのである。
・・・これを解消したかった。特に径の異なった針金を真っ直ぐに綺麗に繋げられる部材が欲しかったのである。こんな部材を何度も夢に描いてみた。方々、探しもした。・・・しかしこうした部材は存在しないし、他の用途からの転用品も見つからなかった。
ならば自分自身で企画設計し、これを造ってくれる精密機器加工メーカーを見つけるしかなかった。
これに応じてくれたのが、最先端技術で医療系機器を造っている世界的に著名なメーカーだった。・・・一言で云えば、そこに一人の良き技術的理解者が居て、当方の拘りに耳を貸してくれたのである。
そして、日本で初めて、いや世界で初めての「異口径スリーブ」が出来上がったのである。これは決して過言ではない。ただし、需要は見込めず、限られた世界にしか通用しないだろう。
異口径スリーブ 1008番 ・・・針金径 1.0ミリ⇔0.8ミリ 用
〃 1210番 ・・・ 〃 1.2ミリ⇔1.0ミリ 用
今、2種類のうち細身の1008番が完成した。1210番は近く完成する予定だが、出来上がったばかりの1008番を使った新しいL字型テンビン(仮称:L型異軸トライアングル接穂アーム)も出来つつある。
この「異口径スリーブ」を工房で発売したいと思っている。しかし、価格が高価になってしまい、余程のマニュアックな方にしか使用されないと思うので、一般販売は暫く控えメールでご相談頂いた方にお分けしたいと考えている。
もし、欲しいと言う方が居られれば、ご相談は鱚介オリジナル工房の注文ボタンからお願いします。
異口径のパイプスリーブ完成!
投稿日:
執筆者:高澤鱚介